保険DX事例:紙の申込業務をオンライン化し、窓口対応の生産性を劇的に改善
背景と課題
保険事業を運営するC組合では、長年にわたり窓口での対面申込を中心に加入手続きを行っていました。
職員が申込書を配布し、加入希望者が手書きで記入、内容を職員がチェック・押印後、後日システムへ転記するという流れです。
しかし、加入者の増加に伴い、紙の処理が膨大になり、入力漏れや記入ミス、申込書の保管・検索にかかるコストが課題となっていました。
また、繁忙期には窓口対応が集中し、申込完了までの待ち時間が長くなるなど、顧客体験にも影響が出ていました。
「窓口業務の生産性を高めながら、加入者にとってもわかりやすく安心な申込体験を実現したい」――この課題を解決するため、当社に相談が寄せられました。
提案とソリューション
当社はまず、C組合の申込フローを職員・加入者の両面から分析し、紙に依存していたプロセスを分解しました。
現場では「入力作業の二重化」「説明内容の属人化」「チェック工程の遅延」が大きなボトルネックになっていることが明らかになりました。
そこで当社は、窓口業務そのものをデジタル化するアプローチとして、Webベースの申込受付システムを提案しました。
窓口では、職員がタブレットを用いて加入希望者と一緒に画面を確認しながら必要事項を入力できるように設計。
紙記入に比べ、記入ミス防止のための入力補助や自動チェック機能を備え、加入条件の説明や同意確認もその場で完結できる仕組みを整えました。
申込データはリアルタイムで内部システムに連携され、後続の審査や登録処理を自動化。
申込後に発生していた「手書き情報の再入力」や「内容不備による差し戻し」が大幅に減少しました。
さらに、導入後の運用定着を見据えて、職員研修や操作マニュアルを体系化。
初めての導入でも抵抗感が少なく、誰でも扱えるUI設計を重視しました。
結果として、窓口担当者のスキル差に左右されない均質な接客対応が可能となり、業務標準化と属人化解消の両立を実現しています。
導入効果
新しいWeb申込システム導入後、申込から登録完了までの平均処理時間は従来比で約60%短縮されました。
紙の申込書処理が不要になったことで、事務作業時間は約半分に削減され、入力エラー率も大幅に低下。
待ち時間の短縮により、加入者の満足度も向上し、アンケートでは「説明がわかりやすくなった」「その場で完了するのが安心」といった声が多く寄せられました。
また、電子化により申込データが即時反映されるようになり、管理部門では申込件数や承認進捗をリアルタイムで確認できるようになりました。
監査対応や統計資料の作成も迅速化し、従来数日かかっていた月次報告が1日で完結するようになりました。
導入から半年後には、Web経由の申込比率が全体の45%を超え、窓口業務のピーク分散にもつながっています。
まとめ
本プロジェクトは、単なる電子申請化ではなく、「窓口業務のあり方そのものを変えるDX」として成功しました。
紙文化が根強く残る共済・保険領域において、加入者対応と事務効率化を同時に実現したことが最大の成果です。
デジタル化を通じて、現場の作業負担を軽減しつつ、加入者への説明品質とスピードを向上させたことで、C組合では“対面の信頼”と“デジタルの利便性”が両立する新しい手続き体験が生まれました。
当社では今後も、紙業務のデジタル化や申込プロセスDXを通じて、公共・共済事業者の業務変革を支援していきます。