モバイルアプリ開発費用の内訳は?失敗しないポイントを解説

スマートフォンの普及により、モバイルアプリを通じたサービス提供は一般的になっています。開発を検討する際に最初に気になるのは費用面です。担当者のなかには「自社アプリを作りたいがコストが心配」という方も少なくありません。
本記事では、モバイルアプリ開発にかかる基本的な費用と、依頼先の選び方で失敗しないためのポイントを紹介します。開発を検討している方は参考にしてください。
モバイルアプリ開発にかかる主な費用
モバイルアプリの開発にはさまざまな費用が発生しますが、大まかに「人的コスト」「物的コスト」の2種類があります。それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
人的コスト
モバイルアプリの開発には、要件定義から設計、コーディング、テスト、保守運用にいたるまで、さまざまな人々の協力が欠かせません。エンジニアやデザイナー、テスト担当者など、各担当者の作業に応じて発生する費用が人的コストです。
人的コストは基本的に「単価×工数(作業時間)」で算出されます。当然ながら、工数が増大するほど人的コストも膨らみます。単価は、各作業者のスキルや経験によっても変わります。たとえば、高度な技術を扱えるエンジニアほど単価は高くなるでしょう。
物的コスト
人的コストとは別に、物理的な環境や機材などの確保・利用にともない発生するのが物的コストです。たとえばモバイルアプリを稼働させるサーバーのレンタル費用、開発に使用するツールやフレームワークのライセンス料などが挙げられます。
特にモバイルアプリ開発の場合、各OSに対応した開発やテストのために実機や検証環境の調達費用が欠かせません。また、完成したモバイルアプリを公開する場合、アプリストアへの登録費用も発生します。こうした費用も含めて物的コストを見積もりましょう。
モバイルアプリ開発の費用を決める主な要素
モバイルアプリ開発にかかる費用は、さまざまな要素に左右されます。モバイルアプリ開発の費用を決める5 つの主な要素について知っておきましょう。
開発規模・開発期間
開発費用を大きく左右するのが開発規模・開発期間です。規模が大きくなるほど期間も長くなるため、両者は密接に関わっています。開発規模の増大・開発期間の延長は工数増加に直結し、人的コストが膨らむ要因となります。月額課金のツールなどを使っている場合は、物的コストも増大します。
開発規模は、実装する画面数や機能数、機能の複雑さで決まります。たとえば、パスワード入力だけのシンプルなログイン機能と、SMSコードなどを併用する二要素認証を備えたログイン機能では、後者の方が開発規模は大きくなるでしょう。
使用技術
モバイルアプリ開発で採用する技術も費用に影響します。影響する費用は、主に「技術の使用料(ライセンスなど)」と「技術実現のための人件費」の2つです。高度な技術や革新的な技術を使うほど、いずれも費用は増大しやすくなります。
たとえば、GPSにより位置情報を活用できる機能を開発する場合、地図サービスのAPI利用料や、位置情報を正確に処理するための高度な開発が必要です。高度な技術はモバイルアプリの完成度や利便性を高めますが、費用も高くなる点は覚えておきましょう。
開発手法(コーディング方法)
開発手法も費用に影響します。特に、モバイルアプリのコーディング方法に着目した場合の代表的な開発手法は、次の3つです。
開発手法 | 概要 |
---|---|
スクラッチ型 | ゼロからコードを書き上げて開発する手法。自由度は高い反面、最も開発規模・開発期間が膨らみやすい。 |
ローコード型(ノーコード型) | パッケージや、専用開発プラットフォーム専用ツールを活用し、手動コーディングの作業を一部(または全て)削減する手法。効率性は高いが、自由度は低い。 |
複合型 | スクラッチ型とローコード型を組み合わせ、自由度と効率性のバランスを取る手法。 |
自由度を追求すれば開発のハードルは上がり、効率性を追求すれば機能に制約が生じます。自由度と効率性のトレードオフを考慮して開発手法を選びましょう。
開発手法(プラットフォーム対応方法)
モバイルOSとしてはAndroid・iOSの2種類が代表的です。多くの場合、双方に対応したモバイルアプリを開発することになるでしょう。各プラットフォームへの対応方法に着目した場合、次の2つの開発手法があります。
対応方法 | 概要 |
---|---|
ネイティブ開発 | 各モバイルOS専用の言語で個別に開発する手法。AndroidではJavaやKotlin、iOSではSwiftなどの言語を使用する。各モバイルOS固有の機能を活用できるが、別々にコードを作成する必要があり、開発規模・開発期間が膨らみやすい。 |
ハイブリッド開発 (クロスプラットフォーム開発) |
Android・iOSの双方に対応可能なフレームワークを使用し、1つのコードで両OSに対応したモバイルアプリを開発する手法。開発効率は高いが、一部モバイルOS固有の機能に制約がある。 |
モバイルOSごとの利用体験を追求する場合はネイティブ開発、効率性や費用を重視する場合はハイブリッド開発が適しています。
利用方法
完成したモバイルアプリの利用方法も、費用を決める大切な要素です。特に「社内利用」と「一般公開」では、費用が大きく変わってきます。基本的に、利用範囲が狭いほど費用は低く抑えやすいです。
一般ユーザーに公開する場合、「App Store」や「Google Play」への登録・更新費用が発生します。また、利用者が増えれば、サーバーの保守運用やユーザー対応などのコストも増大するでしょう。社内利用のみであれば、このような追加費用は抑えられます。
モバイルアプリ開発で失敗しないためには
モバイルアプリ開発は、費用を抑えたからといって成功するとは限りません。モバイルアプリ開発で失敗しないための大切なポイント2つを押さえておきましょう。
ユーザー体験を大切にする
特に一般公開するモバイルアプリ開発の場合、ユーザー体験(UX)を大切にしましょう。UXとは、アプリの利用を通して得るすべての経験を指します。見た目の美しさ、操作のしやすさ、情報の分かりやすさなど、あらゆる面で満足させるための設計が不可欠です。
開発費用の削減を優先してユーザー体験がおろそかになると、結局は利用者が離れてしまい、ビジネスとしての収益につながりません。成功するアプリを作るためには、開発の初期段階からUXを徹底的に考慮した設計を行いましょう。
リリースや保守運用も考慮する
モバイルアプリ開発は、完成して終わりではありません。モバイルアプリ完成後のリリースや保守運用も見据えましょう。
一般公開する場合、アプリストアへの登録・更新作業が必要です。また、社内利用・一般公開を問わず、継続的な保守運用が欠かせません。OSやサーバーなどの定期的なアップデートや、利用者からのフィードバック対応といった体制を整えることが大切です。
モバイルアプリ開発の依頼先を選ぶ際のポイント
高品質なモバイルアプリを効率的に開発するために、外部の開発会社に依頼するのは有力な選択肢です。しかし、依頼先選びを誤ると、期待したアプリが完成しなかったり、思わぬトラブルにつながったりすることも考えられます。
ここでは、モバイルアプリ開発の依頼先を選ぶ際のポイントについて解説します。
サポート範囲
依頼先を選ぶ際は、どこまでサポートしてもらえるかを必ず確認しましょう。開発だけでなく、リリース後のアプリストア公開や保守運用まで一貫して対応してくれる開発会社もあります。反対に、後々に問題が発生しても十分なサポートを受けられないケースもゼロではありません。自社の負担を減らしたい場合は、サポート範囲が広い開発会社を選ぶと良いでしょう。
開発実績
依頼先の開発実績は、モバイルアプリの品質やデザイン性を判断するうえで大切な情報です。開発実績を確認し、自社が期待するモバイルアプリを実現できる開発会社か確かめましょう。特に、自社と同じ業種や似た規模のモバイルアプリ開発実績があると心強いです。同種のモバイルアプリ開発経験が豊富だと、ノウハウが蓄積されているため、大きな失敗を避けられるでしょう。
各工程の見積もり金額
複数の企業から見積もりを取る際は、全体の金額だけでなく、開発工程ごとの内訳を比較しましょう。全体の費用が安くても、重要な工程の金額が不自然に低い場合、注意が必要です。たとえば設計の費用が安すぎると、ドキュメントが不十分で保守運用が難しくなったり、後々に大きな問題が判明して多大な手戻りが生じたりするケースもあります。
また、モバイルアプリの不具合は、発見するタイミングが遅いほど修正費用が膨らみます。テスト段階で見つかる不具合の修正費用は、市場に出てから見つかる場合と比べて大幅に安価です。特に、設計の段階で問題点を見つけると、後の修正コストを1/10~1/100程度に抑えられます。
このように、将来的なことを考えると、ただ費用が安いから良いとは限りません。開発費用が多少増大したとしても、確実にモバイルアプリの品質を保証してくれる開発会社を選ぶほうが、潜在的な追加費用を抑制できます。
まとめ
今回は、モバイルアプリ開発の費用をテーマにお伝えしました。モバイルアプリ開発の費用には人的コストと物的コストがあり、開発規模や開発期間、使用技術、開発手法、利用方法などが費用に影響します。費用を抑えたい場合は、何に費用がかかるのかを把握しておきましょう。
ただし、費用が安ければ成功するとは限りません。将来的な不具合を防ぐには、品質を確保し、信頼できる成果を提供できる開発会社を選ぶことが重要です。
バルテス・イノベーションズは、開発初期からユーザー体験を重視し、高品質なモバイルアプリを提供しています。ハイブリッド 開発で効率を高めながら、厳格な品質基準とテストを実施することで、リリース後の不具合を最小限に抑えています。高品質なアプリを目指す方は、ぜひお問い合わせください。