DXの成功事例5選!事例に共通する推進ポイントをわかりやすく解説

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DXの成功事例5選!事例に共通する推進ポイントをわかりやすく解説

現在のビジネス環境において、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、企業の競争力維持と成長に欠かせない戦略となっています。
「DXという言葉は聞いたことがあるが、何を目指すのかよくわからない」
「自社でもDXを進められるのか不安」
このように、DXの必要性を感じながらも、具体的な進め方に悩む経営層は少なくありません。

本記事では、DXの定義や現状を整理し、具体的な成功事例を5つ紹介したうえで、共通する推進のポイントをわかりやすく解説します。

DXとはそもそも何か?定義やデジタル化の違いをわかりやすく解説

DXの重要性が強調される一方で、その本質を正しく理解していないケースも見られます。ここでは、DXの定義と、混同されやすい「デジタル化」との違いを解説します。

DXの定義

経済産業省はDX(デジタルトランスフォーメーション)を以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”

出典:デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて

DXは、単にITツールを導入することではなく、デジタル技術を活用して顧客に新たな価値を提供し、ビジネスモデル全体を変革する取り組みです。

その推進には、業務プロセスだけでなく、組織や企業文化など、あらゆる側面の見直しが求められます。

DXとデジタル化・デジタライゼーション・デジタイゼーションの違い

DXを正しく理解するために、混同されやすい「デジタル化」との違いを下表で確認してください。なお、デジタル化は「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」に分類されます。

項目 内容
DX デジタル化を基盤に、ビジネスモデルや企業文化を抜本的に変革し、新たな価値を創出する デジタル化された社内データを専門的に分析し、新たな顧客層をターゲットにしたサービスを創出する
デジタル化 デジタライゼーション デジタル技術を活用して業務プロセスを効率化する ERPシステムを販売部で導入する
デジタイゼーション アナログデータをデジタルデータへ変換する 紙の書類をPDF化する

DXはデジタル化を包含しつつ、より戦略的で全社的な変革を目指す点が異なります。

日本企業におけるDXの現状

日本企業のDX推進は遅れているといわれることがあります。総務省の調査によると、DXの前段階であるデジタル化の進行率は、米国・ドイツ・中国が70〜90%に達している一方、日本は約50%にとどまっています。

図1: デジタル化の取組状況(各国比較)

しかし、確実に進展していることが伺え、2019年以前では29%だった実施率が、2024年には49%になりました。

図2: デジタル化の取組状況(日本:企業規模別比較)

企業規模別に見ると、大企業は76%が取り組んでいる一方で、中小企業は30%にとどまり、実施状況に大きな差があります。

出典:総務省|令和7年版 情報通信白書

DXの成功事例5選

ここでは、実際に企業がDXを推進し、成果を上げた具体的な事例を紹介します。業種や規模の異なる事例を取り上げるため、自社に活かせるヒントが見つかるでしょう。

1.バルテス・イノベーションズが手掛けた製造業の事例

IoT(Internet of Things)を活用したDX事例として、「極東開発工業株式会社」様の輸送用特装車の保守メンテナンス体制を根本から変革し、圧倒的な競争優位性を築いた取り組みがあります。
特装車は特殊部品を多く含み、ユーザー自身による保守負担も大きいため、従来の保守リソースでは限界がありました。
そこで、IoT技術を駆使した専用アプリを開発し、スマートフォンのBluetooth通信で車両と連携させ、必要なデータの即時閲覧や保守部品の一元管理を可能にしました。
さらに、車両の利用ログをクラウドで詳細に収集・分析し、走行距離に応じた最適な保守タイミングを自動通知。属人的だった保守工数を激減させ、人手不足という課題を乗り越えるだけでなく、飛躍的な生産性向上を実現させました。

結果として機械の長寿命化を達成し、業界内における圧倒的な競争優位性を確立しています。

2.飲食業の事例

外食業界は競争相手の激化や人手不足による人件費の高騰によって深刻な状況が続いており、ビジネスモデルや顧客体験の変容を通じた差別化・ブランド化が急務です。
例えばすかいらーく系列の店舗では猫型の配膳ロボット「Berabot(ベラボット)」を導入することにより、ホールスタッフ業務の負担軽減のみならず、猫型ロボットを見に行くという体験価値の拡張を促しています。

また多くのチェーン店で導入が進むモバイルオーダーは、顧客の注文体験の刷新により、顧客の手間の軽減を通じて時間短縮やリピート率の向上に役立っています。
人手不足や費用の高騰と聞くと、どうしても短期的な収益に目が行きがちですが、差別化・ブランド化といった長期的な観点での施策が顧客からの支持を集めています。

3.物流業界の事例

ヤマト運輸が展開する個人向け会員サービスの「クロネコメンバーズ」では、荷物の配送状況の確認、受け取り日時・場所の指定、置き配指示などがオンラインで可能です。

従来は不在通知を受けて再配達を依頼する受け身の対応が主流でしたが、クロネコメンバーズでは顧客自らが配送プロセスを事前にコントロールでき、生活行動が能動的に変化しました。

配達員にとっては配送の効率化が進み、再配達率の低減に貢献しています。

4.自治体の事例

宮崎県都城市では、行政サービスの利便性向上を目的に、LINEを活用した行政DXを推進しています。

住民はLINE上でゴミの分別方法や収集日程を確認でき、子育て支援や災害情報など一元的にあらゆる情報が受け取れます。
従来は電話や窓口で行われていた行政との接点が、日常的な連絡手段であるLINEに置き換わった点が特筆すべき点です。
問い合わせ対応の効率化が進み、人的リソースの適正配置が可能となりました。
行政と住民とのコミュニケーションの形を再定義した地域行政の実効的なDX事例です。

5.サービス業の事例

大手コンビニチェーン「ファミリーマート」では、DXによって店舗運営の革新を進めています。スマートフォン向けアプリを基盤に、顧客データを活用したパーソナライズ情報の発信や無人店舗の決済システム導入など、利便性向上に向けた施策を展開しています。

アプリにはキャッシュレス決済やクーポン、複数のポイント連携など従来はバラバラに管理されていたサービスが統合され、アプリ一つで買い物から支払い、ポイント利用、クーポン利用までを完結できるようになりました。

レジでの待ち時間短縮や利便性向上につながり、満足度も上がっています。
店舗側はレジ業務の省人化で運営コストを削減でき、顧客データの活用で需要予測や陳列改善が実効的になりました。
顧客中心のサービス強化で競争力を高めるとともに、デジタル人材の育成にも力を入れ、全社的な変革を推進しています。

DX成功事例から見える共通のポイント5つ

DXの成功事例には、共通するポイントがあります。ここでは、今回紹介した事例に共通して見られる、推進時に重視すべき5つのポイントを解説します。

1.経営層の強いコミットメントと明確なビジョン設定

成功事例では、経営層がDXの目的を明確にし、全社を巻き込んで主導しています。従業員の意識を統一し、現場の改善にとどまらず、経営戦略として取り組む姿勢が求められます。

2.顧客中心の価値再定義(顧客体験の再設計)

DXの目的は「顧客への新しい価値提供」です。顧客体験(CX)の向上は、ニーズを深く理解した新たな価値創出につながります。データ分析やAIを活用したパーソナライズされたサービス提供や、シームレスなオムニチャネル体験の構築が重要です。

顧客からのフィードバックを取り入れながら、継続的に改善していく顧客視点によるビジネスモデルの再設計を通じて、競争優位性を確立できるでしょう。

3.データを活用した意思決定とサービス設計

顧客データを活用したサービス改善により、成果が上がっています。DXは業務効率化にとどまらず、顧客へ新たな価値を提供することが重要です。データ分析基盤を整備することで、データに基づいた意思決定が進み、競争力の強化につながります。

4.部門横断の連携と組織文化の変革

DXは部門間の壁を越えた連携が欠かせません。特定の部署だけで完結するものではなく、すべての部門が連携する必要があります。部門間の壁を取り払い、共通の目標に向かう文化や連携の変革は、DXの成功要因です。

また、失敗を恐れない挑戦できる文化の構築も、変革を持続させる原動力となります。

5.継続的な学習と変化への適応力

DXは継続的で柔軟な変革です。技術や市場トレンドは常に変化しており、継続的に学習し変化に適応を続ける姿勢が重要です。小さな失敗から学び、迅速な改善を繰り返す「アジャイル」なアプローチは有効です。

また、業界やトレンドの変化を敏感に捉えながら、全社員がリスキリングや新たなスキル獲得に努めることで、組織全体の適応力を高めます。

DX化はバルテス・イノベーションズにご相談を

本記事では、DXの成功事例と共通する推進ポイントを紹介しました。企業の成長にDXは欠かせませんが、自社のリソースだけで進めるのは難しい場合もあります。
そのようなときは、外部の専門家と連携することで、短期間での成果につながりやすくなります。

バルテス・イノベーションズは、業界理解と技術力を兼ね備え、戦略から実行まで伴走できる企業であり、幅広い業種のお客様からご支持をいただいております。

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「DXの全体戦略から現場の実装まで一括で支援してほしい」

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