このレポートが刺さる方
  • 経営層からDX推進を任されたが、何から始めるかが決まらない
  • 既存システムのブラックボックス化が進み、移行・改善に着手できない
  • DXツールを導入したのに現場に定着しない、成果が出ない

上記に一つでも当てはまる方へ。このレポートは72社の現場実態から、その原因と出口を示します。

1. 調査概要

2025年は、経済産業省が2018年に発行した「DXレポート(2025年の崖)」が指摘した”約束の年”です。あれから7年、日本企業のDXは本当に変革を遂げたでしょうか。

バルテス・イノベーションズでは現場の声を直接収集し実態を可視化するため、DX推進ウェビナーを開催しました。本レポートはその参加企業のアンケート結果をもとに作成した実態調査です。

調査期間2025年8月22日〜9月16日
有効回答数72件
対象DX推進ウェビナー申込・参加者
調査方法Webアンケート(申込時・当日)

参加者プロフィール

89%
従業員100名以上の
中堅〜大企業
44%
製造業
(最多業種)
75%
一般〜課長クラス
現場DX担当者層

本調査は「現場を理解しつつ、DX推進の責任も担うミドル層」を中心とした実態調査です。業種は製造業が最多(44%)ですが、IT・コンサル、商社、教育、医療、運輸と多様な業種が参加しており、DXへの課題意識が業種横断で広がっていることを示しています。

2. データが示す実態 ─ 72社の現場で何が起きているのか

発見① 「何から始めるか」で止まっている企業が大多数

製品・サービスの導入検討状況を聞いたところ、次の結果になりました。積極的に選定を進めている企業はわずか13%にすぎません。

社内で検討中(課題確認・情報収集)
44%
様子見・情報収集
38%
候補製品を探している
11%
既に候補を絞り評価中
導入済み
5%

発見② DX予算が「未定」の企業が58%

DX関連の投資予算について、「まだ未定」が58%と過半数。「Go/Noの判断ができない」「上申できる状態になっていない」という声と一致します。

発見③ 「電子化=DX」という誤解が根強い

自由記述から最も多く見られたのは次の2テーマです。

  • 「電子化・デジタル化をDXと同一視している社内をどう是正するか」
  • 「ツール導入が目的化し、現場が使いこなせていない」
参加者の声(自由記述より)

「『電子化』=『DX』の認識が社内で強いので、改めて社内に説明するための情報収集に来た」

参加者の声(自由記述より)

「ツール導入が先行している。単なる自動化をDXと勘違いしている。まあ何もしないよりはましな状態」

これは特定の企業だけの課題ではありません。三菱総合研究所が1,000社を対象に実施した調査でも、同じ構図が見えています。

「想定通りの成果が出ている」割合は、ビジネス変革段階の企業では 44.5%。一方、デジタライゼーション段階の企業では 14.6%にすぎない。DXは「変革を実現する企業」と「電子化で終わる企業」に二極化しつつある。

─ 三菱総合研究所「DX推進状況調査結果【2025年度速報版】」(n=1,000、2025年1月)

3. なぜDXは「電子化」で終わるのか

「よくあるストーリー」

多くの企業でこのシナリオが繰り返されています。

  1. 経営層から「うちもDXを進めろ」と号令が下りる
  2. IT部門がコストダウンやシステム更改に着手する
  3. PoC後にシステムを本格導入するが、現場の利用は限定的
  4. 追加開発が続き、当初想定外のコストが発生する
  5. 経営層は「DXが成功した」と満足し、HPでも宣伝される
「社長、それDXじゃないです。」

DXの定義に立ち返る

DXを提唱したエリック・ストルターマン教授の定義はシンプルです。

“The changes that digital technology caused or influences in all aspects of human life”
「デジタル技術が人間の生活のあらゆる面にもたらす変化

どの定義にも共通するのは、「変革(Transformation)が目的であり、デジタルは手段」であること。「FAXをPDFにした」「ハンコをなくした」はデジタイゼーションであり、DXではありません。

3段階のフレームワークで自社位置を確認する

情報処理推進機構(IPA)の「DX実践手引書」は、DXを3段階で整理しています。

段階概念典型例
デジタイゼーション帳票の電子保存、FAXのメール化
デジタライゼーション勤怠管理クラウド化、在庫リアルタイム管理
デジタルトランスフォーメーション文化・風土の改革、新規事業創出

IPA「DX動向2025」は「DXの目的はコスト削減・業務効率化に偏重しており、新規ビジネス創出を実現する企業は少ない」と指摘しています。③を目指すために必要なのは、「目的から逆算すること」と「現状を正確に把握すること」の2点です。

4. DXの最初の壁 ─ 現状が見えないから動けない

アンケートデータとバルテス・イノベーションズへの日々のご相談を照らし合わせると、同じ構図が浮かび上がります。

「ありたい未来・あるべき姿」が経営層の頭の中にしかない
既存の業務フローもシステムも、全体像が誰にも見えていない
判断材料がないまま、ツール提案が先行する
現場と経営層の認識がずれ、投資判断が止まる
「何をもって成功とするかわからない」状態に陥る
DXの最初の壁は、技術でも予算でもなく
「現状が見えていないこと」です。

立場別に見える「リアルなペイン」

アンケートへの声と日々のご相談を照らし合わせると、3つの立場で共通のパターンが浮かび上がります。

こんな方 ── 経営層からDX推進を任されたミドル〜マネージャー層
「成果を出せと言われているが、何から始めるか不明確。コンサルに頼んだらツール提案しか来なかった。経営層に説明できる絵が描けない」

なぜ起きるか:「ありたい未来」と「現状のギャップ」が見えていないため、施策を優先順位付けできない。ベンダーは製品ありきで提案するため、現状整理を手伝ってくれない。

こんな方 ── 既存システムの維持・移行を担う情報システム部門
「既存システムの設計書がない。誰もブラックボックスを理解していない。このまま新システムに移れる気がしない」

なぜ起きるか:長年の改修でドキュメントが追いつかず、仕様が属人化。担当者の異動・退職とともに知識が失われ、「触ると壊れる」状態が放置されている。

こんな方 ── DXの名のもとにシステム導入を押しつけられた現場担当者
「現場にシステムを入れても誰も使ってくれない。かえって業務が増えた。『DX推進』という名目で余計な仕事が降ってくる」

なぜ起きるか:現場の業務フローを整理しないまま、ツールが先行導入される。「入れたら使われる」は幻想で、定着には現状把握と合意形成が必要。

これらのペインは、すべて「現状が可視化されていない」という同じ根に起因しています。

5. なぜ「現状の可視化」は行われないのか

現状可視化の重要性は多くの資料で指摘されています。それでも実行されない理由が、現場には5つあります。

① レガシーシステムのブラックボックス化

設計書が残っておらず、担当者も異動・退職済み。「触ると壊れる」「誰も全体を知らない」という状態が放置されています。

② 業務プロセスの属人化

標準フローが存在せず、個人の頭の中にしかない。「Aさんがいないと回らない」業務が各部門に複数あります。

③ IT部門だけでは業務実態を把握しきれない

技術はわかるが業務詳細は現場しか知らない。現場を巻き込む余裕も方法もわからない。

④ ベンダー提案が「ツール前提」になっている

現状整理に時間を割かず、製品ありきで提案が来る。「要件がわからない状態でRFPを書く」という悪循環。

⑤ 可視化のスコープが絞れない

「どこから手をつけるか」が決まらず、全体を可視化しようとして頓挫します。

「現状が見えないままDXプロジェクトが走り出す」。これが失敗確率を最も高める要因です。

6. 現状可視化からDX、そしてAXへ ─ 3つのステップ

今回のアンケート参加者の多くは「ステップ1と2の間」で悩んでいました。裏返せば、この間を支援できるパートナーの価値が最も高いことを意味します。

1
As-Is(現状)の可視化
  • 業務プロセスの棚卸し・標準フロー整理
  • 既存システムの機能構造・連携関係の把握
  • 属人化ポイント・ボトルネックの洗い出し
  • レガシーシステムのリバースエンジニアリング
ゴール:「誰が何をどのフローで行っているか」が1枚の絵で見える状態
2
To-Be(あるべき姿)の合意形成
  • 経営・現場・IT部門の三者で「目指す姿」を言語化する
  • 「何をDXと呼ぶか」「どの指標で成功とみなすか」を明確化する
  • 「目の前のTo-Be」と「その次のTo-Be」のフェーズ設計

DXはトップダウンが原則ですが、現場の納得なしには定着しません。三者が腹落ちする合意形成こそ、この段階の核心です。

ゴール:全員が同じ言葉で話せる状態。経営層への稟議が通る根拠が揃う
3
AI業務革新(AX)への展開

Step 1〜2が揃うと、初めて明確に見えてくるものがあります。「この業務は、AIで置き換えられる」という判断軸です。

業務の特性AXでの対応
繰り返し発生する定型作業AI自動化による工数削減
外注・BPOに出している業務監査証跡を保ちながらAI内製化
紙・手作業・属人化した判断業務AIによる標準化・スケール化

「外注・BPOで回している業務を、監査対応を崩さずにAIで置き換える。AIが実行し、人が承認する。責任分界まで設計して本番運用へ。」

44.5%
ビジネス変革段階
「想定通りの成果」
14.6%
デジタライゼーション
止まりの企業

─ 三菱総合研究所「DX推進状況調査結果【2025年度速報版】」(n=1,000、2025年4月)

現状可視化→To-Be合意→AXという順接が、この成果の二極化を分けるカギです。三菱総研の調査によれば、生成AIの業務利用率は2023年の25.5%から2025年には45.7%へ急増。AX活用は「先進的な取り組み」ではなく、経営課題への現実解になりつつあります。

7. バルテス・イノベーションズが提供できること

DX支援を行う会社は多数存在します。しかしバルテス・イノベーションズが持つ組み合わせは他にありません。

強み内容
DXの一気通貫コンサルから開発・運用・テストまでワンストップ。「コンサルだけ・開発だけ」にならない
品質保証DNAバルテスグループの品質・テスト知見をDX・AI設計に適用
AXまでの順接支援DXコンサルの延長としてAIを武器化。PoC→本番移行まで伴走
既存資産を活かすリバースエンジニアリングで既存システムを可視化。「捨てるか使うか」から支援

支援実績

大手製造業|基幹業務DX化プロジェクト
課題
受発注・請求・購買管理が属人化。データが散在し経営指標をリアルタイムに確認できない。
支援
業務プロセスの可視化(As-Is)→ To-Be策定 → 各部門への説明 → 要件定義〜開発まで一貫支援。
成果
業務生産性が飛躍的に改善。BIツールによるリアルタイム経営指標の確認を実現。
研究機関|実験資材管理業務DX化
課題
Excel・独自ツールの長年運用により、新担当者がデータを正しく扱えずミスが多発。業務負荷が慢性的に高い。
支援
業務フロー調査解析 → 業務フロー見直し → 要件定義(プロトタイプで現認)→ API連携による自動化。
業務工数 60%削減業務プロセス・工数削減実績

まとめ

1

DXの定義が共有されていない。ツール導入や電子化を「DX完了」と捉えてしまい、変革に至っていない企業が多数です。まず「何のためのDXか」を三者で合意することが先決です。

2

現状が見えていないまま前に進んでいる。業務プロセスの属人化とレガシーシステムのブラックボックス化が最大の障壁です。判断材料を揃えるためにも、現状可視化が最初のアクションです。

3

DXの先にAXがある。現状が見えて、To-Beが合意できると、初めて「どこをAIに置き換えるか」が決められます。DX→AXは無理に接続するものではなく、正しく進めれば自然に辿り着く道筋です。

「ありたい未来から逆算し、現状を正確に把握する。そこから始める。」
DX推進を任された方も、現場でシステムに悩む方も、出発点は同じです。

DXの現状整理、まずご相談ください

バルテス・イノベーションズでは、DX推進の現状整理・To-Be策定について初回無料相談を受け付けています。

DX全体

現状整理・To-Be策定の無料相談

AI活用・AX

業務棚卸し・置換可能性診断(2週間)→ 概算ROI提出

レガシー課題

AIリバースエンジニアリングPoC→ 既存システム可視化

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本レポートについて

監修:仁加保 徹(ITストラテジスト / バルテス・イノベーションズ デジタルソリューション部)

資格:情報処理技術者試験 ITストラテジスト / 一般社団法人日本ITストラテジスト協会 正会員

引用:三菱総合研究所「DX推進状況調査結果【2025年度速報版】」(2025年4月)/ IPA「DX動向2025」(2025年6月)