このレポートが刺さる方

  • 経営から「AI活用による業務改善」を求められているが、効果をどう説明すればいいか分からない
  • AIを既に導入したのに、費用対効果が測れず社内で評価されない
  • PoCは動いたが、本格導入・本番運用に進めない

上記に一つでも当てはまる方へ。本レポートは、AI導入を任された当事者85人の実態調査から、その原因と処方箋を示します。


本レポートは、2026年7月31日開催のウェビナー「AIを導入しても、業務KPIが改善しない企業には何が足りないのか」(主催: バルテス・イノベーションズ)の申込者85人のアンケートをもとに作成した実態調査です。

3つの主要発見:

① 悩みの1位は「費用対効果が見えない」(59%)
「社内に推進できる人材がいない」27%、「経営層・現場の理解が得られない」12%を大きく上回る。

② 導入した企業ほど、悩みは消えない
「既に導入済み」層の71%が費用対効果を悩みに挙げ、未導入層の57%を上回った。

③ 原因は測定の難しさではなく、KPIの不在
「どの業務KPIを動かすのか」を導入前に決めていないことが、効果を語れない根本原因である。

AI活用・DXの課題(回答者49人・複数回答)
費用対効果が見えない
59%
既存システム・データの整備が進んでいない
45%
何から着手すべきかわからない
27%
社内に推進できる人材がいない
27%
PoCから本格導入に進めない
18%
経営層・現場の理解が得られない
12%

1. 回答したのは、誰か

本調査は2026年7月31日開催のウェビナー申込者85人のアンケート回答をもとにしている。テーマに自ら申し込んだ、AI導入を任されている当事者たちであり、数字は全国統計とは異なる。設問により回答者数が異なるため、本文では設問ごとの回答者数を併記する。

  • 業種はIT系44%、製造業28%(回答84人)
  • 従業員数は300人以上が61%。1,000人以上だけで35%
  • 役職は課長以上が48%

そして、意外な数字がある。回答者の69%が、1970年代以前の生まれだった。AI導入は若手デジタル人材の仕事という印象を持たれがちだが、実際に情報収集に動いているのは業務と組織を知り尽くした40代後半から60代のベテラン層である。


2. 最大の壁は「費用対効果」、最下位は「経営層の理解」

「社長はまずAI導入ありきだったのですが、まずはKPIのところをしっかり決めることになりました」(製造業・部長)

「費用対効果が見えない」が59%で突出し、「社内に推進できる人材がいない」27%、「経営層・現場の理解が得られない」は12%で最下位だった。効果に悩む人が集まる場だから費用対効果が上位に来るのは当然としても、同じ人たちが「人材」や「理解」をほとんど選ばなかったことは注目に値する。この人たちの詰まりどころは、人でも社内の説得でもなく、効果の示し方にある。

この順位は役職によらない。課長以上に絞っても1位は「費用対効果が見えない」の52%、係長以下でも64%で、どちらの層でも1位だった。

経営はアクセルを踏んでいる。現場には、メーターがない

自由記述を読むと、経営層はむしろ号令をかける側に回っている。

「会社方針としてAI導入の指示があるが、社員の中での導入率が低い」(ITサービス・一般社員)

経営はAIに興味津々で、アクセルはすでに踏まれている。号令を受けた現場は、どの業務のどの数字を動かすのかという物差しがないまま、走らされている。この温度差の間に立たされているのが、本調査の回答者である推進担当者だ。


3. 導入した企業ほど、悩みは消えていない

「既にAIツールを導入しているが、費用対効果の測定ができていない」(システム・インテグレータ)

「費用対効果が見えない」という悩みは、導入前の検討段階の話だと思われるかもしれない。データはその期待を裏切る。

課題未導入(回答42人)導入済み(回答7人)
費用対効果が見えない57%(24人)71%(5人)
PoCから本格導入に進めない14%(6人)43%(3人)
何から着手すべきかわからない24%(10人)43%(3人)
既存システム・データの整備48%(20人)29%(2人)
社内に推進できる人材がいない29%(12人)14%(1人)

導入によって人と準備の悩みは軽くなるが、効果とその先の悩みはむしろ濃くなる。導入はゴールではなく、新しい迷いの入口になっている。


4. 効果が見えない理由は、測る物差しを決めていないから

「いま抱えている課題に対してどうKPIを設定しているのかと自問すると、ほとんど全てで設定されていません」(建設業・課長)

なぜ、導入してもなお費用対効果が見えないのか。測定ツールが足りないからでも、計算式が難しいからでもない。回答者自身の言葉が、原因をひとつに絞り込んでいる。ツールを選び、導入し、使わせて、それから効果を探す。この順序で進めると、後から探す「効果」はどの業務KPIにも紐づいていない。

変化の兆しもある。関心テーマの設問で「AI導入前の構想策定・効果測定」を選んだ回答者は36%に上った(回答56人)。自動化やナレッジ検索といった花形テーマの陰で、3人に1人が「導入前」の設計に目を向け始めている。

この続きは、詳細版レポートで

詳細版では、費用対効果を語れる企業になるための「ツール選定前に決める3つのこと」(KPI設計・データ整備・本番運用設計)を、製造・物流8事例の動かしたKPIつきで解説しています。あわせて属性分布(業種・従業員数・役職・年代・導入検討状況)の全設問集計も収録しています。


まとめ

1. 費用対効果の悩みは、導入しても消えない
「既に導入済み」層の71%が費用対効果を課題に挙げ、未導入層より高い。導入はゴールではない。

2. 経営と現場の間に「メーター」がない
経営はAI活用の号令をかけているが、現場にはどの業務のどの数字を動かすのかという物差しがない。

3. 順序を入れ替えれば、効果は語れるようになる
ツール導入が先、効果測定が後、という順序を「どの業務KPIを動かすか」を先に決める順序へ入れ替えることが処方箋になる。


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資料内容
詳細版レポート(PDF)本記事の全内容に加え、ツール選定前に決める3つのこと・全設問集計を収録
AI活用事例50選経理・総務・製造・営業など、部門別に50の活用事例を収録
30分の壁打ち相談どの業務KPIから手を付けるべきか、課題の言語化からご一緒します

本レポートについて

項目内容
講演仁加保 徹(バルテス・イノベーションズ デジタルソリューション部)/2026年7月31日マジセミ講演「AIを導入しても、業務KPIが改善しない企業には何が足りないのか」
調査時期2026年7月
回答者85人(設問別の回答者数は各表に記載)
位置づけAI導入の当事者(テーマに自ら申し込んだ推進実務層)に絞った探索的調査。全国統計の代表値ではなく、現場の課題感をそのまま捉えることを目的とする
発行バルテス・イノベーションズ株式会社
発行年月2026年9月

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