設備設計・施工E社、CAD図面からの電気・空調設備の自動配置と積算を自動化 設計・見積業務の属人化を解消

⏺︎ 設備設計・施工を担う企業 DWG形式のCAD図面からフロア・部屋情報を自動抽出し、照明・空調設備を自動配置してCAD図面に反映、積算レポートと見積書を自動作成した事例
AIソリューション 建築業界
設備配置と積算を担当者が図面を見ながら手作業で実施、業務が属人化

設備設計・施工を担う同社では、構内の電気・空調設備の配置設計と積算を担当者が図面を目視で読み取りながら手作業で進めていた。DWG(Drawing)形式のCAD(Computer-Aided Design)図面を開き、フロア構成や各部屋の用途・面積・形状を一枚ずつ確認し、そこから照明器具(ランプ)と空調設備の設置位置・数量を手で割り出す作業が、案件ごとに繰り返されていた。

配置が確定した後は、設備の数量と仕様をもとに積算を行い、積算レポートと見積書を別途作成する工程が続く。図面の内容を読み解く判断基準や積算のルールは担当者の経験に依拠しており、作業を担える人員が限られる状態が続いていた。図面の枚数や規模が増えれば増えるほど処理時間が長くなり、担当者の負荷も比例して高まる構造だった。

こうした状況のなかで、設備配置と積算を担当者個人の判断に依存しない形で標準化し、業務の継続性と処理効率の両立を図ることが、同社の優先課題として浮かび上がっていた。

CAD図面からの情報抽出・設備配置・積算・見積書出力を一気通貫で自動化

当社はまず、同社が扱うDWG形式の図面の構造と、設備配置・積算のルールを詳細に分析した。フロアや部屋の情報をどのような基準で判定するか、設備の配置位置をどのロジックで決定するか、積算にどの仕様情報を参照するかを整理し、自動処理として実装できる範囲と、担当者の最終判断が必要な例外ケースを切り分けた上でシステムを設計した。

実装したのは、DWG図面を入力に取り、フロア構成・各部屋の形状と用途を自動で解析する機能である。抽出した部屋情報をもとに、照明器具と空調設備の設置位置と数量を自動で算出し、配置結果をCAD図面上に自動追加する。配置処理は、社内の設計基準や設備仕様のルールに沿って動作するよう調整しており、図面の規模や部屋数が増えても処理の精度と一貫性を維持できる構成とした。

配置が確定した後の工程も自動化の対象とした。設備の種類・数量・仕様をまとめた積算レポートと、顧客向けの見積書を自動作成する機能を実装し、図面の読み取りから見積書の出力までを連続した一連の処理として完結させた。最終確認と承認は担当者が担う設計とし、自動処理の結果に対して人が判断を加えられる構造を維持した。

図面解析から見積書出力までの工程を自動化、設計・積算の工数を削減

導入後、DWG図面を読み込むと部屋情報の抽出から設備配置・積算・見積書出力までが自動で処理され、担当者が手作業で担っていた工程の大部分が解消された。設備配置のたびに図面を目視確認しながら手計算する作業がなくなり、設計・積算にかかる工数を大幅に削減できた。

これまで経験豊富な担当者が時間をかけて処理していた業務が、システムによる自動処理と担当者の確認・判断業務への移行に変わった。担当者が一人の処理にかかりきりになる状況が改善され、複数案件を並行して進めやすい体制が整った。

設備配置のロジックと積算ルールがシステムに実装されたことで、担当者ごとに異なっていた判断基準がシステム上で統一され、業務引き継ぎの難易度も下がった。図面規模の大小にかかわらず同じ処理手順で対応できるため、受注量の変動にも安定して対応できる運用基盤が構築された。

まとめ

本事例は、構内の電気・空調設備の配置設計と積算が担当者の経験と手作業に依存して属人化していた業務に対し、DWG形式のCAD図面からの情報抽出・設備自動配置・積算・見積書出力を一気通貫で自動化した取り組みである。

本事例の核は、設計基準と積算ルールをシステムに実装することで、担当者の判断に依存していた業務を標準化しつつ、最終確認を人が担う構造を維持した設計にある。「現場の判断基準やルールを言語化し、それを支えるシステムの設計・実装・運用定着までを一体で支援する」という進め方は業種を問わない。当社はその一連を一体で支援しており、今後も、属人化や業務の高負荷化を課題とする企業に対し、業種を問わず現場の実態に根ざした支援を提供していく。