資材を扱う企業、入荷・保管・出荷時のダメージ判定をAIで標準化 目視に依存した判定のばらつきと記録不備を解消する取り組み

⏺︎ 資材を扱う企業(匿名) 入荷・保管・出荷の各工程で発生する資材のダメージ有無を、担当者の目視に依存せずAIによる写真解析で自動判定する取り組みの提案。判定基準を現場で言語化・定義したうえでPoCにより精度を検証し、目視判定のばらつきと記録の不備を解消することを目指す(提案/PoC)
AIソリューション 流通卸業界
担当者の目視に頼る判定が、ばらつきと記録不備を生み続けていた

資材を扱う企業では、入荷・保管・出荷の各工程において、資材の損傷・劣化(ダメージ)の有無を担当者が目視で確認する検収・品質検査業務が発生する。表面の傷・凹み・腐食・変色など、判定の対象となる状態は多岐にわたる。

目視判定には、担当者の経験・習熟度によって「損傷あり」とみなす基準が一致しにくいという構造的な問題がある。ベテランと新任では同一の資材を前にした判断が異なることがあり、検収の品質がそのまま個人の熟練度に依存してしまう。複数のエリア・シフトにまたがる運用では、この判定のばらつきがさらに拡大する。

記録面でも課題がある。目視判定の結果は手書き票や口頭確認で処理されることが多く、後工程でトラブルが発生した際に「いつ・誰が・どの基準で判定したか」を追跡することが難しい。損傷の見落としが原因であっても、記録が残っていなければ再発防止のための原因分析にたどり着けない。こうした状態が、検収品質のばらつきと後工程トラブルの温床になっていた。

資材の写真をAIが解析し、損傷・劣化候補を自動判定

当社は、担当者がスマートフォンや固定カメラで撮影した資材の写真をAI(人工知能)が解析し、損傷・劣化の候補を自動的に検出・通知するシステムの導入を提案している(本事例は提案/PoCの段階であり、実績稼働ではない)。

プロジェクトはまず現場の判定基準を言語化する工程から始める。「何をダメージとみなすか」は業種・資材の種類・用途によって異なるため、現場の担当者・品質管理責任者と協議しながら検知対象とするダメージの種類・程度・撮影条件を定義する。傷の深さや錆の範囲など、これまで暗黙知として担当者個人に蓄積されていた判断基準を、AIが扱えるルールとして明文化することが第一のステップである。

定義した基準をもとにAIモデルの学習・設定を行い、PoCでは実際の現場で撮影した資材の写真を用いて判定精度・検出漏れ・誤検知の率を検証する。最終的な損傷の確定判定は担当者が行う設計とし、AIは「候補の提示と根拠の可視化」を担う役割に位置付ける。判定結果は電子記録として自動保存され、撮影日時・担当者・使用した判定基準がセットで残る仕組みとする。

判定ばらつきの低減と記録標準化が、想定される主な効果

想定効果として、まず目視判定のばらつき低減が挙げられる。AIが定義済みの基準に沿って一貫した候補提示を行うことで、担当者の経験・習熟度に左右されにくい検収が実現できると見込んでいる。新任担当者でもベテランと同等の判断基準を参照しながら確認を進められることが期待される。

次に、判定記録の標準化と追跡可能性の向上が想定される。写真・判定結果・担当者情報が電子的に一元管理されることで、後工程でトラブルが発生した際の原因追跡が可能になる。これまで手書き票や口頭確認に依存していた記録が構造化データとして蓄積されることで、継続的な品質改善の基盤になることも見込んでいる。

なお、これらの効果は提案・PoC段階における想定であり、実際の判定精度や運用上の改善効果はPoC検証を経て確認・調整する。

まとめ

本事例は、担当者の目視に依存してきた資材のダメージ判定に対し、AI写真解析による候補の自動検出と電子記録化を導入し、判定のばらつきと記録不備を解消する提案・PoCである。

本取り組みの核は、暗黙知として担当者に依存してきた「何をダメージとみなすか」という判断基準を言語化・定義し、それをAIとして実装・検証・運用定着させる進め方にある。当社はその一連の工程を一体で支援しており、今後も、属人化した目視判断や手作業の記録に依存してきた現場を持つ企業に対し、業種を問わず現場の実態に根ざした支援を提供していく。