需給最適化事例|納品先配分を自動最適化し、計画工数とクレームリスクを低減

⏺︎ 食品流通事業者N社 供給不足時の納品先配分を数理最適化で自動化し、判断ばらつきと計画工数を削減した事例
AIソリューション 流通卸業界
入荷量が変わるたびに、担当者が手作業で配分を調整

食品流通事業者N社では、農産物の入荷量が天候や産地の状況によって常に変動するため、スーパー、学校、病院など複数の取引先への納品先配分を担当者が手作業で調整していた。入荷のたびに配分の見直しが必要となり、調整作業に数時間を要することも珍しくなかった。この間、担当者は他の業務に着手できない状態となっていた。

調整の根拠は担当者の経験と勘に依存していたため、判断にばらつきが生じやすく、取引先から「前回と条件が変わった」といったクレームが発生するケースもあった。配分基準が明文化されていないため、後から説明を求められた際に対応が難しく、担当者が異動した際の引き継ぎにも支障をきたしていた。

担当者の暗黙の判断ルールを言語化し、数理最適化エンジンへ組み込み

VINは、担当者がこれまで暗黙的に判断していた優先ルール(取引先の契約量、優先度の高低、供給量に応じた按分(あんぶん)方式など)をヒアリングで丁寧に言語化し、数理最適化エンジン(制約条件と目的関数を解いて最適解を自動算出するシステム)に組み込んだ。入荷量と取引先ごとの制約条件を入力するだけで、全条件を満たした最適配分案が自動出力される仕組みを実現した。担当者は出力された配分案の最終確認に集中できる体制に移行した。

配分結果の根拠がシステムに記録される構成としたため、取引先への説明責任も担保できるようになった。担当者個人の知見ではなく組織の判断ルールとしてシステムに定義されたことで、異動や引き継ぎの際にも業務が滞らない体制が整った。

配分工数の大幅削減、クレームリスク低減、属人化の解消を同時に実現

手作業で数時間かかっていた配分調整が、最終確認のみで完結できるようになった。作業時間の大幅な削減により、担当者は在庫管理や取引先との関係構築といった本来の業務に時間を充てられるようになった。配分基準が明文化されたことでばらつきが解消され、取引先からのクレームリスクが低減した。

属人化が解消されたことで、担当者の異動や休暇があっても業務が止まらない体制が整った。引き継ぎ時のコストも大幅に下がり、組織としての業務継続性が高まった。

まとめ

本事例は、供給変動が常態化する食品流通の現場で、担当者の暗黙知をロジックとして言語化し、配分業務の自動化と組織的な判断基準の定着を同時に実現した取り組みである。

本事例の核は、担当者の経験と勘に依存していた判断を言語化・構造化し、最終確認の責任を担当者に残しつつ、配分算出を自動処理に移行した設計にある。こうした「現場の判断基準やルールを言語化し、システムとして実装・運用定着させる」進め方は業種を問わない。当社はその一連を一体で支援しており、今後も、属人化や判断ばらつきを課題とする企業に対し、業種を問わず現場の実態に根ざした支援を提供していく。