設備設計D社、CAD・PDF図面の部品抽出と積算を自動化 見積もり工数を最大6割削減

⏺︎ 設備設計会社D社 CAD・PDF図面から部品抽出と積算を自動化し、属人化した見積業務の工数とミスを削減した事例
図面の目視読み取りと手作業の積算が、見積もりのボトルネックに

設備設計会社D社では、受注案件ごとにCAD・PDF図面を担当者が目視で読み取り、部品リストの作成・数量積算・見積書への転記を1件あたり数時間かけて行っていた。作業は特定の担当者に集中し、その担当者が不在になると案件の進行が止まる状態が常態化していた。

図面フォーマットは取引先ごとに異なり、必要項目の所在を読み解く作業にも時間がかかっていた。手入力による転記ミスが発生するたびに確認と修正の手戻りが生じ、積算から見積書提出までのリードタイムが伸びやすかった。

受注量が増えるほど積算担当の負荷は高まり、経験豊富な担当者への依存度がさらに増す。この属人化の解消、すなわち業務の継続性とミス防止の両立が、D社にとって優先度の高い課題となっていた。

図面解析から部品抽出・積算・提案書作成までを一気通貫で自動化

当社はまず、D社が扱う図面の種類・フォーマット・処理フローを分析し、自動処理に適した図面群と、人手判断が必要な例外ケースを切り分けた。その上で、CAD・PDF図面を入力に、部品リスト抽出から数量積算・見積出力までを一気通貫で処理する構成を設計した。

CAD解析AIによる2D図面からの部品認識を実装し、フォーマットが異なる図面でも項目を適切に抽出できるよう調整した。さらに、室内の照度(Lux)計算を自動実行し、建築基準法・社内規定が定める照度基準との照合を行う機能を組み込んだ。基準を下回る場合は、設置メーカーや器具の変更候補を自動で提示する設計とし、仕様選定の判断材料を担当者がその場で確認できるようにした。

積算結果と照度計算・メーカー提案をまとめた設備設計向けの提案書・見積書を自動出力する機能も実装し、図面の読み取りから提案書の完成までを一連の処理として連続させた。社内情報を外部に出せない環境に対応するため、オンプレミス環境での稼働も前提に設計している。最終確認と判断は担当者が担う設計とし、処理精度の責任の所在を担保しながら自動化を導入できる構成とした。

積算リードタイムを最大6割短縮、転記ミスによる手戻りも大幅減

導入後、定型フォーマットの図面については部品リスト抽出から積算出力までが自動処理され、担当者が費やしていた読み取り・転記の時間を大幅に削減できた。積算リードタイムは最大6割短縮し、転記ミスに起因する手戻りも大幅に減った。

特定担当者に集中していた業務が、確認・例外対応を中心とする業務へ変わり、担当者不在による業務停止のリスクが下がった。新しい担当者でも処理に参加できる体制が整い、引き継ぎの難易度も下がった。

管理側でも案件ごとの積算ステータスを把握しやすくなり、見積提出までのスケジュール管理が安定した。

まとめ

本事例は、図面の手読みと手入力積算に依存して属人化・高負荷化していた見積業務に対し、CAD・PDF解析による部品抽出と積算の自動化を導入し、担当者が確認・判断業務に集中できる体制を構築した取り組みである。

本事例の核は、属人化した最終判断を担当者に残しつつ、図面解析から積算・提案書出力までを、機密を外に出さない閉じた環境で連続処理した設計にある。こうした「現場の判断やルールを言語化し、システムとして実装・運用定着させる」進め方は業種を問わない。当社はその一連を一体で支援しており、今後も、属人化や負荷の集中を課題とする企業に対し、業種を問わず現場の実態に根ざした支援を提供していく。