物流事業者Q社、パレット積み付けと配送ルートを同時最適化 積載効率を改善し荷待ち時間・残業を削減
経験と目視に頼った積み付け計画が、積載効率と法令対応の両立を阻むボトルネックに
物流事業者Q社では、パレットへの積み付けパターンを担当者の経験と目視判断に頼っていたため、積載効率に担当者間のばらつきが生じていた。スペースロスが積み重なって配送便数が増え、ドライバーと車両への負荷が高まる状態が続いていた。
物流総合効率化法の施行により、荷主・物流事業者ともに荷待ち時間の削減が求められる中、Q社では配送計画の立案にも時間がかかっており、計画作業自体がドライバーの残業の一因になっていた。積み付けと配送ルートをそれぞれ別々に計画していたため、最適化の余地が分断された状態だった。
データに基づく根拠のある積み付け計画を作成できないことが、荷主への説明責任の面でも課題となっていた。
パレット積み付けと配送ルートを同時に最適化する数理モデルを設計・導入
当社はまず、Q社が扱う製品の種類・サイズ・重量・配送先条件を整理し、積み付けパターンと配送ルートを同時に最適化できる数理モデルを設計した。担当者が製品情報と配送先を入力するだけで、最適な積み付けパターンと配送順序が自動出力される構成としている。
積み付けと配送ルートの最適化を同時に行うことで、片方だけを最適化した場合には見えなかった改善余地を引き出せる設計とした。物流総合効率化法への対応においても、データに基づく積み付け計画がそのまま荷主への説明根拠として機能する。導入にあたっては、製品マスター(サイズ・重量)の整備を初期工程として設け、最適化精度の前提となるデータ品質を確保した。
積載効率が改善し荷待ち時間も短縮、計画担当の工数も大幅に削減
導入後、パレット積み付けの担当者間ばらつきが解消され、積載効率が改善した。スペースロスの削減により配送便数が減少し、燃料費・車両稼働コストの低減につながった。配送ルートの最適化も並行して行われるため、荷待ち時間が短縮し、ドライバーの待機による時間ロスが減少した。
計画作業の自動化により、配車・積み付け担当者が計画立案に費やしていた工数を削減できた。担当者は計画の実行管理と例外対応に集中できるようになり、残業時間の低減にも寄与した。
法令対応においても、データに基づいた計画記録を残せるようになり、荷主との合意形成や社内の報告業務が整理された。
まとめ
本事例は、経験と目視に依存した積み付け・配送計画が積載効率と法令対応の両立を難しくしていた物流事業者に対し、数理最適化による同時最適化を導入し、効率向上と計画工数の削減を実現した取り組みである。
本事例の核は、これまで別々に立てていた積み付けと配送ルートを同時に最適化し、片方だけでは見えない改善余地を引き出した点にある。条件が複雑に絡み合う計画業務をデータに基づいて整理し直すこの進め方は、業種を問わず通用する。当社はその一連を一体で支援しており、今後も、属人化や負荷の集中を課題とする企業に対し、業種を問わず現場の実態に根ざした支援を提供していく。