情報システム部門を持つE社、障害一次切り分けをAIで自動化 ベテラン依存を解消し対応品質を平準化

⏺︎ 情報システム部門を持つ企業E社 障害一次切り分けと保守対応の初動を自動化し、担当者によらない均一な対応品質を実現した事例
ベテランの勘に頼った一次切り分けが、保守運用の安定を揺るがしていた

企業E社の情報システム部門では、障害発生時の一次切り分けを特定のベテラン担当者が担っており、その担当者の在席・稼働状況によって対応速度が大きく変わる構造になっていた。深夜や休日の障害対応では初動が遅れ、SLA(サービス品質保証)違反が生じるリスクが繰り返し課題として挙がっていた。

過去のトラブル対応で蓄積されたナレッジは担当者の頭の中に集約されており、チケットや手順書として体系化されていなかった。新しい担当者が加わった際の立ち上がりに時間がかかり、引き継ぎのたびに一時的な対応品質の低下が生じていた。

ベテラン担当者の退職・異動リスクが高まる中、一次切り分けの仕組みを属人依存から脱却させることが、E社にとって優先度の高いテーマとなっていた。

過去の対応履歴と手順書をAIに学習させ、誰でも同じ品質で一次対応できる仕組みに

当社はまず、E社で蓄積されていた過去チケット・手順書・設計書の整理と構造化を支援し、RAG(検索拡張生成)システムへの取り込みに適した形式に整備した。新規チケットが投入された際に類似事例・原因候補・調査手順が自動提示される仕組みを設計・実装した。

提示された候補をもとに担当者が判断・対応する運用フローとし、ベテランが持っていた暗黙知をシステム内に定着させる構成とした。一次切り分けの精度はRAGに取り込まれたデータの質に依存するため、初期データのクレンジングと整備を導入前工程として丁寧に実施した。社外に出せない情報を扱う性質上、クローズドな環境での運用を前提に構築している。

時間帯や担当者によらず対応品質が均一化し、SLAを安定して順守できる体制に

導入後、深夜・休日の障害発生時も同水準の一次対応が可能になり、対応開始までの時間を短縮した。ベテランに集中していた一次切り分けの負荷が分散し、担当者の業務バランスが改善した。

過去チケットの蓄積が進むほどRAGの提案精度が向上する構造のため、運用を継続するほどナレッジが厚みを増す。新しい担当者が加わった際の立ち上がり期間も短縮し、対応品質を維持したまま体制を拡張できるようになった。

管理側では、障害対応の記録が一元化されたことで、傾向分析や再発防止策の立案がしやすい環境が整った。

まとめ

本事例は、ベテラン担当者への属人依存が保守運用の安定性を脅かしていた情シス部門に対し、過去ナレッジのRAG統合と一次切り分けの自動提示を組み合わせて、担当者によらない均一な対応品質を実現した取り組みである。

本事例の核は、ベテランの暗黙知を過去ナレッジとしてRAGに定着させ、誰が一次対応しても品質を一定に保つ仕組みを、機密を外に出さない環境で構築した点にある。こうした「現場の判断やルールを言語化し、システムとして実装・運用定着させる」進め方は業種を問わない。当社はその一連を一体で支援しており、今後も、属人化や負荷の集中を課題とする企業に対し、業種を問わず現場の実態に根ざした支援を提供していく。